ご卒業おめでとうございます。
私は教職員時代から、節目を迎えるみなさんに一つのメッセージを届けてきました。
「生きているということ、いま生きているということを実感できる生き方を!」
この言葉には、谷川俊太郎さんの有名な詩「生きる」の一節を借りて、みなさんがそれぞれの学びを糧に、成長した自分に自信を持ち、自分らしい生き方を探してほしいという願いを込めています。
この詩の前半では、「のどが渇く」「木漏れ日がまぶしい」といった何気ない感覚が描かれています。これらはみなさんが今、確かにここに存在していることを教えてくれる素敵な瞬間です。
また、「泣ける」「笑える」「怒れる」といった心の揺れも、みなさんが自分に対して正直に生きている大切な証拠です。
日々の生活の中で、心と体で感じるすべてが、かけがえのない「生きている実感」そのものなのです。
詩の後半では、視点はさらに広く、深いところへと向かいます。
「自由」「兵士が傷つく」「人は愛する」……これらの言葉からは「自由、平和、そして敬愛」という、人間が人間として尊重されるために欠かせない「尊厳」に関わる重要な視点が語りかけられています。
この詩が発表された1971年は、日本が高度経済成長のまっただ中にある激動の時代でした。それから半世紀以上が過ぎ、先の見通しが持ちにくい変化の激しい社会となった今も、この詩に込められた想いは私の心に変わらず響き続けています。
これから歩む社会がどんなに変化しても、日々の小さな「生きていること」を実感できる「豊かな感性」と、他者の痛みを分かち合い、平和や自由を尊ぶ「広い視野」を併せ持ってほしいと願っています。
「夢と志を持ち、未来を創るよっかいちのこども」として、自分を大切に、そして周りの人々を大切にしながら、自分らしい生き方を見つけてください。みなさんが、誰もが心豊かにWell-beingに暮らせる未来を切り拓いていってくれることを、心から期待しています。
令和8年3月 四日市市教育長